人材の戦力化と定着につながるオンボーディングとは

みなさん、こんにちは
キャリアサバイバルの松岡です。
このブログは、会社の経営者であるキャリゴリ社長と人事コンサルタントの私、松岡が対話をしながら学びを深めていくブログです。

本日のテーマは、「人材の戦略化と定着につながるオンボーディング」についてご紹介させていただきます。
本ブログを最後まで読んでいただければ、新入社員の受け入れ方や戦力化につながるヒントが得られます。
ぜひ、最後までお付き合い下さい。

キャリアゴリラ
今日のテーマは人材の戦力化と定着かいな
めちゃくちゃ興味のある内容やで!!
だいすけ
ありがとうございます!
今や人材の定着は中小企業に取って死活問題ですからね。
キャリアゴリラ
ホンマやで。我々みたいな会社は1人辞めてしまうだけでもかなり痛手やで。
それに新しく見つけてくるのもホンマ大変やわ、、、涙
だいすけ
そうですよね。今回は定着についてお伝えてしていきますね

オンボーディングとは

昨今の人手不足が広がるなか、新卒採用だけでなく、中途採用に力を入れる企業も増えてきています。
逆に新卒採用はやっていなくても、中途採用は積極的にやっている、という企業もあるかもしれません。しかし採用はそんなに簡単なものではなく「即戦力人材」と期待した人材だったとしても思うように活躍してもらえなかったり、なかなか会社に馴染めず早期離職になってしまったりと、中途入社者の活躍や定着について課題を抱えている企業は少なくありません。

 

オンボーディングを直訳すると「船・列車に乗り込んでいる」という意味になります。そこから派生して新入社員を職場に配置し、組織の一員として定着させ、戦力化するまでの一連の受け入れプロセスをオンボーディングといいます。

このオンボーディングが注目されている背景の1つとして中途入社者の定着の問題があります。

中途採用者の中には即戦力を期待して採用している企業も多くいますが即戦力とはいえ職場環境も人間関係も仕事の進め方も違う中で力を十分に発揮すること は容易ではありません。

時には周囲からの協力が得られず早期離職に繋がることもあります。

オンボーディングをするメリットとは

次にオンボーディングをするメリットのご紹介をさせていただきます。オンボーディングはタイトルにもある通り人材の即戦力化と定着の向上という大きなメリットがございます。しかし、それに加えて5つのメリットがあります。

  1. 侵入社員の即戦力か
  2. 職場のストレス緩和
  3. 早期離職の防止
  4. エンゲージメント向上
  5. 採用コスト削減

いくら即戦力を期待されて中途入社したとしても組織の一員として適応できなければ、その人が持つ力は十分に活用されません。新しく入社した新入社員や中途社員は新しい人間関係や仕事環境など多かれ少なかれストレスがかかります。
なので本日ご紹介するオンボーディングを適切に実施することで彼らのストレス緩和と早期退職の防止に繋がりますよ!

キャリアゴリラ
オンボーディングなんて単語初めて聞いたで
要は何をすることなんや?
だいすけ
確かにあまり聞きなれない言葉かもしれませんね
次の章で取り組む上で重要なポイントについてご紹介させていただきます

オンボーディングを取り組む上で重要な3つのポイント

それでは、次にオンボーディングを取り組む上で重要な3つのポイントをご紹介致します。

  1. 会社に入社前の段階
  2. 会社に慣れる前の段階
  3. 連続的と付与的

上記はそれぞれの段階の話とその中で取り組むべきことを詳細にお伝えしているものです。
これらを実践していただくことで新人のオンボーディングを適切に実施することができます。

①会社に入社前の段階

オンボーディングというと入社してからどうやって社員を戦力化させていくか、という視点をお持ちの方も多くいらっしゃると思いますが実はオンボーディングは入社前から始まっています。なぜかというと入社前の期待と入社後の現実の乖離が離職の原因になるからです。

この乖離のことをリアリティショックと呼ぶのですが、入社2年以内の退職の原因はこのリアリティショックが大きく影響しています。

このギャップの発生を防ぐ(軽減する)為の取り組みの1つにRJPというものがあります。
RJPとはRealistic Job Previewの略で入社前にできるだけリアルな仕事情報を提供することで、リアリティショックを生じづらくさせるというものです。RJPをすることで入社後の離職が抑制されるという研究結果も発表されているほど効果がある取り組みなんです。

しかしいかに リアリティシ ョックが減っ て定着率が高 まるとはいえ入社前に「リアル」を伝えすぎるのは怖くないでしょうか?
例えば求職者が減ってしまう、、、
或いは入社してくれないのではないか、、、などという懸念があるでしょう。

現にRJPのやり過ぎは良い結果に繋がるとは限らず、求人情報にリアルを書きすぎると応募が来ないだけでなく、知らせる必要のない人にマイナスな情報を知らせてしまい企業イメージを毀損してしまう場合もあります。
なのでRJPを行う適切なタイミングは入社意志が固まってから行う、あるいは人間関係が出来てから行うが良いとされています。
入社意思が固まっておらず気持ちが揺れている候補者に対して「リアルすぎる」情報を伝えるとマイナスに受け止められてしまう危険性があるからです。

その他にも

・同じ事実でもポジティブに伝える
・デメリットの裏にあるメリットも必ずセットして伝える
・第三者の口から伝えてもらう
・書籍等の社会的証明を活用する

等さまざまな工夫を行うようにしましょう。

これだけリアルな情報を伝えるのに気を使わなくてはならない理由は、人にはネガティビティバイアスというバイアスがあるからです。これはポジティブな情報よりもネガティブな情報に注意を向けやすく判断にも活用しやすいというものです。

最後にそもそも人によって「何がリアリティショックにつながるか」が異なる点も忘れてはいけません。
人間関係なのか仕事内容なのか、その人にとってリアリティショックを起こしやすいことは何なのか、個別に考えることも大切です。

②会社に慣れる段階

次は入社後の会社に慣れる段階の話です。①の入社前である程度、リアルを伝えていたとしても「じゃあOK」とはなりません。
聞いた情報と実際に体験した感覚とでは大きな差があるからです。

そして、この段階で必要なことは「新入社員と既存社員との人間関係をいかに構築するか」という点です。
組織社会化という概念によると人は身近なところから少しずつ組織になじんでいくといわれています。

入社後、職場の仲間に受け入れられた感覚(受容感)と仕事ができるようになった感覚(有能感)のどちらが先に満たされるのかという研究がなされ、受容感を経て有能感を得られるということでした。

つまり入社後に大切なことは仕事を覚えることよりも社内との人間関係の構築が大切だということです。中途社員においては社内の人脈がなく、社内の情報やルールを詳細に知る事が難しい場合があります。その結果「前職のやり方では上手くいかないが、かといって、どうすればいいか分からない」と悩んでしまう人も少なくありません。だからこそ新入社員が「この人に相談すればいい」と感じられる関係を会社側が設定・提供することは非常に重要で意義があります。

③連続的と付与的

最後の3つ目は「連続的で付与的」な関わりです。
入社前と入社直後という時系列ではご紹介した今までご紹介した点を意識して関わりを持っていただければと思います。
しかし、オンボーディングというのは”点”ではなく”線”で設計しなくてはなりません。

ここでいう連続的というのは特定のロールモデルやメンターが社内にいて入社前から入社後まで、継続的に支援を得られることを指します。逆に、特定の人物はおらずその都度関わる人が変わる状態を断絶的な関わりと言います。

また付与的というのはポジティブなフィードバックを指します。
例え社会人経験が豊富な中途社員であっても、新たな会社で最初から上手く振る舞える訳ではありませんのでその際に付与的なフィードバックを行うことが大変有効だとされています。実は入社間もない段階でのネガティブなフィード バックは控えた方が良いでしょう。

前提としてフィードバックの効果を高めるためにはフィードバックを『する側』と『される側』の関係性が重要だからです。
関係性が良好でない場合、ネガティブなフィードバックをしてもプラスに働かないどころか、逆にマイナスに作用する恐れがあります。

これらのことを心理学では”心理的リアクタンス”と言います。これは「人は行動の選択の自由を脅かされると、その自由を回復しようとする作用が働く」というもので、 何かネガティブな指摘をされ、自分の自由が脅かされた時(されそうになった時)人は以下の4つのいずれかを選択するとされています。

  1. 同調  :自由を放棄
  2. 離職  :自由を求めて去る
  3. 仮同調:内心は自由を保持
  4. 抵抗  :自由を維持

同調の人たちは

自分達の自由を放棄し会社の指示や上司の指示に従うことを決めて動く人たちです。このタイプの人はある意味順応に動いてくれるため会社側からすればコントロトロールしやすいと感じるかもしれません。


離職の人たちは

自分の自由が得られないなら会社を去るという選択をする人たちです。このタイプの人は「自分」というものを強く持っており成果を出しているタイプに多いです。彼らは彼らなりのプライドや自負があるのでそこを尊重しながらコミュニケーションを取っていくことが重要です。


仮同調の人たちは

彼らは表面的に組織に従っているように見せている人たちで、組織に対してネガティブな気持ちを抱え続けております。
なので、一見「同調タイプ」と見た感じは全く変わりません。


抵抗の人たちは

彼らは、あからさまな抵抗をします。自らの思いを主張したり、なぜこれをやっているのかというような理由の説明を行います。
「離職」のタイプと違うのは、会社にはい続けるという点です。すぐに会社を辞めるのではなく自分のポジションをしっかり確立していくために戦っていくタイプと言えるでしょう。


一番気をつけないといけないタイプは「仮同調」

前述したように、彼らは表面的には組織にしたがっているようでも組織に対してネガティブな気持ちを抱え続けており、やがては離職につながる人が多いです。また、ある調査によるとこの仮同調が最も多いタイプと言われています。 一方で、付与的なフィードバックをもらえると自信がつき行動の変化も感じるため「自分はこの組織でやっていけそうだ」と感じてもらいやすくなることもわかっています。

気持ちを高める付与的なフィードバック はオンボーディングに大変有効です。

キャリアゴリラ
この仮同調って人、ウチの会社にもめっちゃいそうやな、、、。
同調してるフリは見抜けへんからなぁ〜
だいすけ
これは本当に難しいですよね。それに疑うのも良くないですからね。
ですから、まずは関係性ができるまでの間、ネガティブなアプローチは控えることが重要ですね
キャリアゴリラ
せやな〜、、、ただ、どうしても言うてまうわな
やっぱり入社したての時は、ルールに慣れてもらったり、しっかり伝えなあかんと思ってしまうわ
だいすけ
ルールや初期教育はしっかりやっていただくことは私も大事だと思います。
情報の伝え方やフィードバックの仕方などを工夫してみていただければと思います。

最後に

ここまでオンボーディングのメリットやポイントをお伝えして参りました。せっかく費用をかけて採用した人材も離職してしまうと組織にとって大きな損失になるでしょう。 そこで重要になってくるのが上司の役割です。
ロールモデルとなりうる人をメンターにつけたり、仕事の意味や目的を新人にしっかりと伝えてあげましょう。
他にも入社後、 3ヵ月、半年のタイミングで業務の振り返りワークショップなどを実施することでよりオンボーディングしていくことができます。一度、社内のオンボーディングの取り組みについて設計してみてください。

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